コンサルファームは実力主義なのか?コンサルの評価の実態とは

世の中には、まことしやかに語られている都市伝説がたくさんあります。いわく、稲垣吾郎は最初SMAPのメンバーではなかった。いわく、ジャニーズは全員バク転できる。そして極めつけは、コンサルティングファームは実力主義だというものです。

転職サイトなどでコンサルファームを紹介する記事などを読んでみると、社内政治が跋扈するような企業体質とは全くの無縁である、事業会社から転職してきた人の手記では実力主義で厳しい世界である、といったことがうたわれています。しかし、自分自身の経験や、他ファームに努めている友人の話などを総合すると、巷で言われているほど単純な実力主義の世界ではないのではと思っています。

ここでは、コンサルファームにおける人事評価の実態について紹介していきたいと思います。

ランクごとの大雑把な昇格基準とは

まず前提知識として、コンサルティングファームのグレードは、コンサルタントからはじまり、管理職の入り口であるマネージャーを経て、経営層となるプリンシパルという構造になっていることが一般的です。

各ランクごとの大雑把な昇格の考え方として、まずコンサルタントから管理職であるマネージャーに至るまでは、特定分野での専門スキル・知識を持っていること、部下・チームを管理監督できること、営業活動を行って案件の獲得ができること、といった辺りがおもな評価ポイントとなります。

またマネージャーからさらに上のランクに上がるためには、特定分野で「深い」専門スキル・知識を持っていること、複数プロジェクトを管理監督できること、具体的な売り上げKPIを達成していること、特定領域のマーケットリーダーになるポテンシャルを持っていること、といった基準に照らし合わせて評価されることになります。

実力に加えて、評価されるために必要な「社内人脈」

これらの昇格基準について、多くの場合は能力を持っていると主張するだけでは不十分であり、実際のプロジェクトで実力を見せ、評価される必要があります。そこで、実力を発揮しやすいプロジェクトや環境に身をおかなければなりませんが、そのために社内人脈が結構大きなウェイトをしめることがあります。

例えばコンサルタントから管理職に上がるために、提案活動に携わりたいと思ったとします。しかし提案活動は時間的な制約が厳しいことが多く、公に提案チームを募集する余裕がない場合は、リーダーとなるマネージャーの一任で提案チームを編成することも多くあります。ここで、普段多くのマネージャーと公式・非公式に交流し「昇格のために提案活動したいんです」と言って回っている人と、そうでない人がいた時に、どちらがより提案に携われるチャンスがあるでしょうか?

もちろん、人脈がなければチャンスがもらえない、という訳ではありません。組織のなかで誰がどのポジションにいて、さらに成長させるためにはどんな経験をさせるべきか?という議論はリーダーの間で定期的に行われているファームがほとんどであり、組織的なサポートの仕組みはもちろん整備されています。それでも、能動的に人的ネットワークを構築した方がより有利なのは、間違いないでしょう。

売り上げ数字を立てるための「運」的要素

また、マネージャー・シニアマネージャーから、さらに上に行くためには、売り上げ数字というKPIが肩に重くのしかかります。売り上げ数字が上げられるかどうかは、提案活動の良し悪しは当然のことながら、市況や競合の状況、担当するソリューションがトレンドに乗っているかどうかといった、外部環境に依存する部分も出てきます。これら外部環境は自分自身ではどうにもならないことも少なくなく、乱暴な言い方をすれば運的要素も絡んできます。

とある友人が勤めるファームには、かなりニッチな領域のエキスパートとして若くしてトップまで上りつめた方がいるそうです。謙遜か本音か、ご本人は「数年前までメインストリームだったサービス領域が、外部環境の変化で一気に吹き飛んだ。そのおかげで自分のニッチ領が急に脚光を浴びて、昇進することができたんだ。運が良かったよ」と語っているのだとか。もちろんその方自身に実力があったことが大前提ですが、市況環境に助けられたことも一定の事実があるのと思います。

実力を持つことと、その実力を発揮できる環境にいられることは別

上記で見てきたとおり、実力を持っていることと、その実力を発揮できるかどうかは別の話であり、実力を発揮できる環境に身をおくためには様々なファクターが絡んできます。そのため、巷で言われているようなコンサルティングファーム=実力主義という単純な図式を見ると、何となく違和感を覚えてしまうのです。

これからコンサルティングファームを志す方は、ぜひ参考にしてみてください。