事業会社からコンサル転職後に失敗してしまう人の3つの特徴

コンサルティングファームでは、同業他社からはもちろんのこと、事業会社からの採用も積極的に行っています。私自身も事業会社からの転職ですが、悲しいことに事業会社からの転職組がコンサルとして十二分に実力を発揮できず、沈んでいってしまう光景を何度も目撃しています。事業会社からの転職組の中で、コンサルファームで失敗してしまう方々の間には、どのような共通点があるのでしょうか。その特徴と対策について考えてみました。

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特徴1:前職の栄光にしがみつくマインドセット

事業会社からコンサルティングファームへの転職を成功させた方々は、往々にして地頭が良かったり、前職である事業会社で素晴らしいパフォーマンスを上げていたりします。それなりに厳しい採用面接をパスしている訳ですから、当然と言えば当然です。またコンサルファームは給与面の待遇などもいいことから、「妥協した転職先」というよりは「行きたかった転職先」であることがほとんどでしょうから、内定を取得できたことは転職者にとっても鼻高々な気分かもしれません。

しかし、前職で評価が高かったからと言って、コンサル会社でも「そのまま何もせずに」高い評価を得られるとは限りません。後で見ていくように、スキル面でのキャッチアップや、コンサルタントとして生き残る術を身につけなければ、コンサルタントとして一旗揚げることは容易ではありません。ごくごく当たり前のことのように思えますが、「事業会社での成績が良く」「行きたかった転職先から華麗に内定をゲットした」方々の中には、過剰な自信を持って入社されてくる方もいらっしゃいます。

自信がパフォーマンスにつながれば大変結構な事なのですが、悪い方向に進んでしまうと自信がエゴに変わっていき、埋めるべきスキルギャップに真摯に向き合わなかったり、コンサルタントとして会社に順応できなかったりしていきます。やがてそれは低い評価につながるも、依然持っている過剰な自信が目を曇らせ、コンサルなんかつまんねーな、事業会社に戻ろうか、なんて考え始めるも、コンサルとしての成果が何一つないまま再度の転職をするのは簡単ではないという現実にぶち当たり・・・と、大げさに書いているように見えて、結構頻繁に目撃するパターンにハマっていってしまうのです。

この悪循環にハマらないようにするためには、転職後にスキルや働き方といった点で、自分自身をアップデートしなければならないことを認識し、謙虚にキャッチアップするマインドセットを持つことが大切です。あなたが戦闘力53万のスーパーウルトラ超絶ハイパフォーマーでない限りは、過去の栄光にしがみついている限り、転職後数か月で新橋の居酒屋で「会社は自分を正当に評価してねぇ」とくだをまく羽目になってしまいます。

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特徴2:クライアント側のステークホルダーのマネジメントに苦慮する

転職後に発生するスキルギャップは、前職で得られたスキルや、転職後のコンサルファームでの部門によりますので、文字通り十人十色です。しかし割と高い確率でぶち当たる壁が、クライアント側のステークホルダーのマネジメントスキルだと思っています。

事業会社で社内向けの仕事を中心に行っていた方の場合、仕事で関わる人のほとんどは社内の人でしょう。部署の違いや個人の仕事の仕方の違いなどはあれど、基本的には「同じ会社の仲間」とのやり取りであり、よほどの事が無ければ協力的に仕事を進めることができる環境と言えます。しかし、コンサルタントとして相対するのは社外のクライアントが中心です。コンサルタントとクライアントの関係は、互いに特定のプロジェクトを成功させるべき関係という意味では仲間ですが、同時に高い金を払って雇っている外部の人という見方、つまり高い金を払うだけの価値があるのかどうかという厳しい評価の目に晒されるシビアな関係でもあります。

そのため、プロジェクトのスコープのマネジメントや、期待値のマネジメントは、事業会社でのそれよりも高いものが求められます。ただでさえ厳しい納期と高い品質が求められるのがコンサルタントの宿命ですが、クライアントからの期待値のすり合わせをしないまま期待値を下回る成果物を出してしまっては大事故につながりますし、だからと言って際限なくスコープを広げていっては体がいくつあっても足りません。このような感覚とスキルは、事業会社で社内の人を中心に仕事をしているとなかなか育ちづらいもので、コンサルへの転職後に意識的に伸ばしていく必要があると考えています。

ちなみに、営業職からコンサルに転職した場合、スキル面でそれほど苦労しない事例が少なくないのは、この辺りが大きいと考えています。営業の方々は常にお客様との折衝が仕事の中心であるため、期待値のコントロールのスキルが鍛えられているためです。

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特徴3:コンサルとしての社内のふるまい方がわからない

コンサルタントとして大成するためには、社外のクライアントとのやり取りはもちろんのこと、コンサルティングファーム内での振る舞いも非常に大切です。

ここで問題ですが、プロジェクトで自分が活躍するために一番手っ取り早い方法はなんでしょうか?・・・答えは、自分の得意領域のプロジェクトにアサインされることです。当たり前の話じゃん!と思われるかもしれませんが、固定的なチームで長い年数働くことの多い事業会社とは異なり、コンサルティングファームでは3~4か月単位で働く相手が変わっていくため、意外と周りの人はあなたの得意領域を深くまで理解していない可能性があります。あなたの得意領域を知らなければ、あなたに合うプロジェクトにアサインすることができず、結果として不幸なアサインが発生してしまいかねません。そのため、自分がどのような経験を積んでいて、どのようなスキルを持っているか、また今後どのようなことにチャレンジしていきたいかといったことは、上司や周りの人にきちっと伝えることが重要です。※1※2

とはいえ、常に得意なプロジェクトにアサインされるとは限りません。そんな時のために、逆に周りのコンサルタントたちがどんな経験を持っていて、どのトピックならどの人に問い合わせれば良いかを把握しておくことが重要です。またコンサルティングファーム内には、人付き合いが超絶上手く、恐ろしいほど広いネットワークを持ったコンサルタントが10人に1~2人います。そういう人を見つけておけば、何か困った時にも社内のナレッジを活用しやすくなるでしょう。

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※1:特徴1で見たように傲慢な態度にはならないようお気を付けを。
※2:もちろんマネジメントメンバーはそれぞれのプロジェクトに対してベストなアサインをするべく細心の注意を払っていますが、その精度を高めるために、自分から適切なアピールをしましょうという意味合いです。

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まとめ

これまで、事業会社からの転職組が陥りがちな3つの共通点と対策についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。何かの参考になりますと幸いです。