大手コンサル=高給派遣? 大手コンサルティングファームの仕事の実態とは

先日東洋経済オンラインにて、大手コンサルティングファームに転職した人の転職相談についての記事を読みました。曰く、大手コンサルティングファームは「高給派遣」であり、自分の望む仕事のスタイルと違う、更なる転職を考えているとのこと。

中小企業対象の経営コンサルタントを10年やった後、38歳でビッグ4のとあるファームに転職しました。
(中略)早くもいかに辞めるかを考えています。
採用されたものの、社内からは所詮中小を相手にしてきたレベルの低い人材扱いされます。
私からしたら、大手コンサルなんて大手企業からしたら高級派遣扱いで、中小企業支援で得られる真の経営支援なんて触らせてももらえない希薄な味気ない仕事としか思えません。

出典:https://toyokeizai.net/articles/-/284862

このご相談者にとって大手コンサルが向いているのか、はたまた前職の経営コンサルが向いているのかはさて置き、ご相談者の言う大手コンサル=高給派遣で味気の無い仕事、というのは本当なのかどうか、コンサル業界を目指す人にとっては気になる所だと思います。ここでは、大手コンサルの仕事の様子についてご紹介してみたいと思います。

そもそも「高給派遣」という言葉の意味とは

「高給派遣」というのは、実際にコンサルティングファームに在籍している人たちが使う言葉として、ちらほらと聞くことがある言葉です。

いわゆるコンサル的なお仕事というと、複雑な問題解決をユースフルでプルーブンなフレームワークを活用してファンタスティックにソルビングし、超ビジーにも関わらず週8回合コンに通い詰めたうえでペイメントはアメックスで・・・というカタカナ飛び交う世界観というイメージを持っている方もいらっしゃるかも知れません。しかし、プロジェクトの中には地道な仕事の積み上げが求められるものも少なくなく、そういった人たちがよく「まぁコンサルゆーても色々あるよね」と、新橋の立ち飲み屋で焼き鳥を頬張る時に使う言葉が高給派遣です。また、クライアントサイトに常駐するタイプのプロジェクトは、その働き方がいわゆる派遣登録者と似ていることから、高給派遣と呼ばれることがあります(実際の契約形態とは関係ありません)。

ちなみに、週8回合コンについては実際にやり遂げた人物がおり、自分よりも多く合コンに行った人がいたら名乗り出て欲しいというのが彼の常套自己紹介でした。コンサルの中には控えめに言って私生活が面白いことになっている人が多い気がするのですが、それはまた別のお話。

「高給派遣」に当たる確率が高いファーム、低いファーム

一般的に、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、メンバー一人一人の裁量が小さくなる傾向にあり、高給派遣プロジェクトと呼ばれる可能性が高くなります。大手ファームはクライアントも大手会社であることが多く、伴ってプロジェクト規模の大きな仕事が多くなるため、高給派遣感が強まります。逆に成長企業などをクライアント相手にすることの多いコンサルティングファームでは、まさにクライアント会社の社長の右腕として、少人数体制で支援するといったプロジェクトになることもあり、大手ファームでは経験しづらいお仕事をすることができるかも知れません。

また領域によっても異なり、巨大プロジェクトになりやすいITコンサルティング領域と、比較的小規模なチーム・短期間のプロジェクトになることが多い人事制度領域では、仕事の仕方が大きく変わります。

分かってくれとは言わないが そんなに「大手」は悪いのか

高給派遣なんてお仕事をしたかった訳ではない!とギザギザハートでやさぐれているコンサルタントも(上記の記事の相談者のように)中にはいるかもしれませんが、大手ファームの巨大プロジェクトには相応の面白さがあると思います(個人的には大好物です)。

まず、とても一人では成しえないような大きな成果を、クライアント・メンバーとともに追い求めることができる点です。投資額が数十億円単位、時には新聞にも載るようなプロジェクトや成果につながることも少なくなく、やり遂げた際の達成感もまたひとしおなのが、巨大プロジェクトの大きな醍醐味でしょう。また高給「派遣」というくらいなので、常駐してクライアントに非常に近い距離で仕事をする機会が多くありますが、クライアントのビジネスの裏の裏まで知ることができるため、コンサルタントとして勉強になることが非常に多いと思います。

とは言え、成長企業にターゲットをあてたコンサルファームや、領域が限られていてよりコンサル的な仕事がしやすいブティックファームの案件が面白いのも、また事実。社長と二人三脚で事業計画を策定・実行するようなプロジェクトは、大手コンサルではなかなか味わえない楽しみがあります。

そのため、どちらがより自分自身が好む働き方ができそうか、入社前にきちんと確認しておくことが非常に重要です。面接の時にどのような性質のプロジェクトが多いか聞いてみたり、エージェントの方を通している場合はストレートに聞いてみたり、最近では転職の口コミサイトなどを利用してみるのも有効でしょう。

コンサルファームでの転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。