色々な経験したくても・・・優秀な人ほどハマる「コンサルのジレンマ」とは

コンサルティングファームの働き方は基本的にプロジェクトベースであり、インダストリーやコンピテンシーによって差はあれど3~6か月、長くても1年程度でプロジェクトが変わることがほとんどです。コンサルタントという生き物は、大概が飽き性で同じ仕事を続けると発作を起こす・・・もとい、多様なプロジェクトを経験して自らチャレンジングな環境に身を置きたいと思っている人たちばかりでしょう。コンサルティングファームへの転職を希望する方の中にも、志望理由のひとつに「多様なプロジェクトを経験できる」というものを挙げているかも知れません。

しかし、優秀であればあるほどハマりやすい、いわゆる「コンサルのジレンマ」なるものが存在します。コンサルのジレンマとは、どのような症状なのでしょうか。また、そのジレンマから抜け出す方法はあるのでしょうか。

コンサルのプロジェクトの決まり方

そもそもコンサル屋さんでは、どのようにプロジェクトのアサインメントが決まるのでしょうか。

フォーマットや呼び名はファームによって変われど、コンサル屋さんには「アサイン先リスト」なるものが管理されています。ここには誰がどのプロジェクトに出稼ぎに出ていて、誰が本社でのんべんだらりとニートしているのか待機しているのかが記載されています。新しいプロジェクトが発生した際や、既存プロジェクトでも人手が足りない時に、プロジェクトマネージャーはこの閻魔帳を見に行き、誰をどのプロジェクトにアサインするかが議論され、本人にコンタクトが行くという寸法です。

事業会社の異動辞令とは異なり、プロジェクトマネージャーからは「こんなプロジェクトがあるけど、参画してみない?」というオファーの形で本人に連絡が入ります。そのため、本人にはそのプロジェクトのオファーに対して「はい、ぜひ参画させてください」と「Yes, I’m happy to join this project」という答えの2択があるのが、特徴的な点です。仕事に対して選択肢が与えられるなんて、実に素晴らしいことですね。え、選択肢があるようでない?いえいえ、それはきっと気のせいですよHAHAHA・・・

優秀な人ほど、同様のプロジェクトから抜け出せなくなる罠

プロジェクトマネージャーたちがメンバーを選ぶ際には、当然ながらプロジェクトを成功させるために必要なスキル・経験を持っているかという観点でチームを組成します。そのため、別のプロジェクトで名を挙げたメンバーがいた場合、きっと次の同様のプロジェクトでも成果を出してくれるに違いない・・・ということで、特定のメンバーに同ジャンルのプロジェクトが集中します。優秀なメンバーであれば、またそこで成果を上げる→評判が上がる→同じ仕事が舞い込む、という無限ループに入っていくという寸法です。かくして特定の人に特定のプロジェクトばかりが集まることが往々にして見られます。

転職組のようにそのような前評判が無かった場合のアサインは、たいてい前職の経験を元に決められることが多いため、やはり同様の無限ループの入り口に立っていることがままあります。人によっては、前職で携わっていたクライアントに再度新しい名刺を携えていく、という怪奇現象に出くわすこともあるんだとかないんだとか。

キャリア開発の機会を上手に活かし、自ら動くことの重要性

もちろん、同様のプロジェクトや領域を深く経験すること自体にはメリットも多くあり、特定領域に関してはファームの誰にも負けない強みを持てたり、社内での自分のブランド(あの人はこれにかけては右に出るものがいない)が確立できたりします。しかしコンサルならではの「色々な領域を経験し、幅を広げることができる」という特徴を享受するためには、やはりバランスをしっかり取っていくことが重要です。

ファームによってスキームは異なりますが、大体のコンサルティングファームにはメンターとの定期的なキャリア面談や、部門長クラスとの1 on 1の機会が設けられ、自分の将来的な成長に関して相談に乗ってもらうといった機会が定期的にセットされます。そこで自分がどのようなキャリアを目指したいか、そのためにどのようなプロジェクトを経験していきたいと思っているかをきちんと伝えることで、希望に沿ったプロジェクトアサインをしてもらいやすくなります。

また、本業のプロジェクトとは別に、新サービス設立のための社内プロジェクトに手を挙げたり、興味のある分野に関する提案活動に関わったりするのも非常に有効です。日頃からアンテナを立てておくと、これらの活動に関われるチャンスが増えますので、ぜひ意識をしてみると良いと思います。