最近読んだ本について

最近読んだ本の中から、印象に残ったものをつらつらと。それなりのペースで本を読んでいるつもりですが、それを上回るペースで日々本を買っているため、積読は一向に解消されそうにありません。。。

GRIT やり抜く力
大きな成功を収めるための一番のファクターは「やり抜く力」である点を説く本。嫌というほどのエビデンスを載せており、やり抜く力の重要性を理解するためには良いのですが、アマゾンのレビューなどでは「食傷気味だった」という声も見受けられました。その一番の原因は、おそらく「GRIT」を伸ばすために何すればいいの?という具体的なアクションがあまり書かれていない(と読み手は感じる)からではないかと思います。その点では「スタンフォードの自分を変える教室」の方が、1週間ごとに取り組めるアクションが簡潔に記載されており、必要最低限の理論もコンパクトにまとまっているので読みやすいと思いました。
ただ個人的に興味深いと思ったのが、個人としてのGRITではなく組織としてのGRITをどう上げるか?という点。後述するハイアールに関する本を読んでいても、強い企業は組織としてのGRITが他企業に比べて高いからではないか?と感じます(勝手にGRIT of Organization, GRITOと呼んでます)。著者は心理学者なので難しいかも知れませんが、ぜひこの点に関する続編が他の分野の専門家から出てくることを期待しています。

ビジネスモデルエクセレンス ハイアールはなぜ白物家電の王者になれたのか
白物家電世界売り上げナンバーワンの、旧青島冷蔵庫、現ハイアールがどのような改革を成し遂げてきたのかを解説する本。特定企業の歴史を取り上げる本は、ともすれば精神論と礼賛の言葉のみが羅列されている本も少なくないためあんまり好きなジャンルではないのですが、さすがビジネススクールの教授・研究員が書いただけあって、マーケットの時代背景から他社比較、一般的な組織論との対比など、緻密な分析のもとに書かれており面白かったです。
何しろすごいのは、CEOの張氏がハイアールの歴史の中で「執拗なまでの」組織改革を断行し続けてきたこと。前述の話で言えば、ハイアールはとんでもなくGRITの強い人物が率いる、組織としてのGRITOが異様に高い企業です。この点について、ハイアールCEOの長年にわたるパートナーコンサルに話を聞くことができたのですが、張氏はなぜこれほどまでの改革を引っ張ってこれたのか?という私の質問に対し、シニカルに笑いながら一言。「その原動力は、私にはわからない。だが、彼が従業員から好かれていると思うかい?」

モチベーション3.0
賞罰から生まれるモチベーションではなく、楽しいからという内発的動機付けに注目すべきということを説く本。内発的動機付け自体が何ぞやというのは色々な所でも語られていますが、それをどのように刺激するのか?ということが詳細に語られています。興味深いのは、賞罰モチベーションを絶対悪のように扱うのではなく、特定の条件下ではこのモチベーション2.0も有効であることが書かれていた点。
この本を読んでの私にとっての宿題は、モチベーション3.0をかき立てるための組織ってどんなものだろう?ということを考えることですかね。

「分かる」とはどういうことか
これ以上ないほど直球のタイトルで、「分かる」という現象を解説している本。人がどのように外界を認識し、「分かって」いるのかを懇切丁寧に解説しています。職業柄、他人に新しい概念をどのように学んでもらうかを年がら年中考えている私にとっては読んでタメになりましたが、人によっては教養レベルの読み物で終わってしまうかも。

〇最近取り組んでいる本
The Competitive Advantage of Nations
ポーター先生の本。和訳がKindleで出ていないため、泣く泣く原著を購入。目次が終わった時点で、本を読み終わるまでの時間が57時間と表示されてさすがに笑った。ただ内容はとてつもなく面白い。頑張って読み切ります。