日本人プレミアム

日本人プレミアムという言葉を聞いたことはありますか?いわく、特にアジア地域において「日本人」というだけで、現地の人から尊敬される現象のことを指すそうです。なんでも日本はアジアの中でも飛び抜けた経済成長を果たし、スター的存在なのだとか。しかし最近はこの日本人プレミアムがだんだんと薄れてきているようです。先日会った、アジアで18年仕事をしている日本人の方も、「昔は日本人というだけで人気者扱いだったけど、今や見向きもされなくなった」と語っていました。 日本人プレミアムが消失している事に関して語る人に共通しているのは、なくなることに対してネガティブで残念な印象を持っている様子であることです。しかし、よく考えると日本人プレミアムそのものはおかしな現象だと思います。なぜ、どこかの国籍を持っているという事実だけで尊敬されるのでしょうか。 日本国が爆発的な経済発展を遂げて先進国の仲間入りをしたから?その成 […]

LAST SASURAI

今年最後のさすらいに行ってまいりました。しばし行先をどこにするか悩みましたが、やはり〆を飾るにふさわしいのは原点だろう、ということでKLへ。仕事を含めると、2015年下半期のみで4回訪れたことになります。 相変わらず昼も夜も気のおもむくままにうろうろしていたのですが、昼に出くわしたのが写真のマーケット。KL中心部から少し離れたところにあるのですが、鮮烈で極色彩で濃密にアジアでした。 大量に取引される生肉・生魚・生野菜、豪雨のように飛び交うマレー語と中国語、強烈な日差しがパラソルを色とりどりのランプに変え、足元は飛び散る魚の鱗でざらつき、併設された食堂からの排気は嗅覚を麻痺させる。五感すべてが場の空気に支配され、かろうじて「君は今アジアにいる」というメッセージのみ吐き出すことができる状態。 エネルギッシュとかパワフルとかそんな言葉が陳腐に聞こえるほどの、圧倒的なマーケットでした。 夜のうろう […]

さすらい 台湾

日にちが少し空いてしまいましたが、台湾に行ってきました。普段のさすらい旅とは一味違います。台湾人の結婚式にお呼ばれしてきたのです。外国の友人の結婚式のために、飛行機に乗って駆け付ける。なんとまぁグローバルな響きでしょうか。しかもこの友人とはフィリピンで出会い、再会は日本、そして台湾で祝福と会うたびに場所が変わっており、いつの間に地球ってこんなに小さくなったんだっけ?と思ってしまいます。 台湾は2010年以来の2度目の滞在です。その4年の間に香港、深セン、上海、杭州へ訪れてきましたが(中華圏という意味ではシンガポールも)、台湾の雰囲気は中華圏というよりむしろ日本に似ていると感じます。もちろん通りは繁体字の中国語だらけですし、道行く人の顔立ちも南方系の特徴が色濃く出ています。しかし、例えば地下鉄のホームできちんと並んで待つ人々。レストランの店員さんのホスピタリティ。友人のちょっとした気遣いなど […]

べんきょうちゅう

コツコツと、英語と中国語の勉強をしております。言語の学習は不思議なもので、今日できたことが明日同じようにできるかどうか分からない。昨日は確実に覚えていた単語なのに、なぜか今日は思い出せない。 しかし、勉強を続けていくと、さざ波のように行ったり来たりを繰り返しながら、ふと気づくと岸からこんなに離れている。ある時点で振り返ってみれば、あーこれだけ上達したのかぁと実感する。 学生時代にやっていたトランペットも同じプロセスでした。一通りの音が出るようになるまで苦労する楽器ですが、ある日出ていた音が、次の日にはかすりもしない。日々心が折れながら練習を続けていくと、どこかのタイミングで音が安定的に出るようになってくる。そして「出るか出ないか」の音が、より高いレベルになっていく。 短期的にバッとやってズバッと効果が出る、というのはお手軽ではあるけれど、味気がない気もします。思考のさざ波をたゆたうのも、そ […]

さすらい マラッカ

ふと思い立ちました。「マラッカ海峡ってどこだ?」Google先生に聞いてみると、なんとシンガポールからバスが出ているではありませんか! というゆるい成り行きで、マラッカ行ってきました。出発3日前までマラッカに何があるかも知らず、当日までホテルすら予約していないという、ゆるさ満点のさすらいでございますが、私のモットー「パスポートとパンツさえ忘れなければ逮捕されることはない」を胸にゆるゆると旅してまいりました。 マレーシア在住の知り合い曰く、KLが東京とすると、マラッカはさながら京都だそうです。確かに所狭しと高層ビルがにょきにょき成長しているKLとは対照的に、マラッカは空の見渡しがとても良い。またシンガポール・KL共にこの時期は雨季ですが、マラッカ滞在中はほとんど曇ることがありませんでした。内陸のKLとインド洋に面したマラッカではまた気候が違うのでしょうか。 14世紀末から有史に登場するマラッ […]

旅のお供

旅のお供として最も大事にしているのが、カメラ。曲がりなりにも趣味が写真撮影と言い張ってきているので「それなりにしっかりしたカメラを持っておかないと格好つかないかなぁ」という軟派な理由でそれなりにしっかりしたカメラを持っていっています。カメラ自体はとてもしっかりしていますが、本人がしっかり使いこなせているかどうかはまた別の話。 逆に全く必要としていないのが、(通信ができる状態の)スマートフォン。海外旅行の際にSIMカードやモバイルWifiをレンタルしたことは仕事を除いてありません。人に会う時や約束がある場合は通信手段のためにフリーWifiを捕まえたりすることはありますが、ふらふらしている時くらいは基本的に電波の呪縛から逃れたいと思っています。 もちろんどこか目的地にたどりつきたい時は、スマートフォンほど便利なものはありません。これがあれば、きっとイギリス郊外で終バスを逃して20キロの道のりを […]

さすらい 結婚式

この一週間、友人の結婚式出席のために、お休みを頂いて日本に帰ってまいりました。 結婚式でよく聞く、日本的な挨拶である「まだまだ未熟な二人でございますので、どうぞご指導ご鞭撻よろしくお願い申し上げます」という一句。正直言うと、少し前まで、まぁお決まりの文句だなという程度の認識でした。 しかし、よくよくこの一節をかみしめてみると、とても素敵な思想が含まれていることに気づきます。人は一人では生きられず、互恵関係によってこの世界は成り立っていること。その互恵関係に対する感謝を言葉にして伝えること。今後とも出席者とのご縁を末永く大切にしたいという姿勢の表れ。 ちょっとへりくだり過ぎてるとは思いますが(笑)、実は奥深い一節ですね。 古くからの習慣と言うのは、必ずしもいいものではありません。むしろ日本においては、悪習は速やかに絶たれるべきという考えの方がより市民権を得やすいと思います。 ですが、よく聞か […]

海外に出ても変わらないこと

海外に出て変わったことのひとつに「思考の幅」があると書きましたが、当然変わらないものもあります。というか、変わらないものの方が多いと思います。 これは 変わるもの と 変わらないもの を比較した上で 変わらない>変わる という議論ではありません。海外に出るという「大きな変化」というイメージに比例した変化は、ただ海外に出るだけでは起きない、という話です。 例えば、英語圏の国に住めば英語が出来るようになるかと言えば、まったくそんなことはありません。海外に出るっていうことの「なんかスゲー」というイメージに見合った英語のレベルアップは、出るだけでは得られません。現地のコミュニティにどっぷりつかるなり勉強するなりしないと上達しません。 「変わるためのチャンス」は海外に出る事で何倍にも何十倍にも広がります。そのチャンスを活かすためにどれくらい努力できるか、というのがポイントになる訳ですね。 当たり前の […]

考え方の幅

海外で生活を始めると、すごく大きな変化があることに気づきます。何事も考えたり話したりするとき、国名がつくようになることです。 例えば今借りている家の話をするとき、必ず「シンガポールの家は」という前置きが入ります。そんなの当たり前じゃん、今住んでいるのはシンガポールなんだから、と言ってしまえばすごく些末なことですが、この「シンガポールでは」「日本では」「○○の国では」という言いかたは自然と自分の思考の幅を広げてくれると思うのです。 これまで何を語るにしても、自然と思考の幅は日本国内に限定されていました。海外との対比を意識的に語ろうとする時にだけ、意識的に思考の幅を広げ、意識的に「○○の国では」という言いかたをしていました。しかし、一定期間海外に住むと、自然と「○○の国では」と発言するようになり、その発言によって思考の幅が広がるようになります。つまり無意識的に、日本国内で物事を語る姿勢から少な […]

さすらい 香港

あの日、僕は恋に落ちる音を聞いた とは、はちみつとクローバーの有名な一節(?)ですが、私が2年前の夏に落ちた恋の音はきっと爆竹の音に違いありません。 初めて香港を訪れた際は、かの地のフシギな魅力にメロメロになってしまいました。多種多様という言葉では表しきれないほど色々な人でごった返し、高層ビル群はもはや太古からの怪獣なんじゃないかと思えるほど有機的に乱立し、むせ返るほどのエネルギーであふれる場所。「自由」をそのままひとつの街にしたような雰囲気に、一発で恋に落ちてしまいました。 香港名物と言えば、やはり道路に突き出した看板。これを抜きにして香港を語ることはできません。看板はお店の位置や商品の情報を知らせるべく、景色に埋没せずに目立たせることが至上命題な訳ですが、この点において香港の看板の右に出るものは世の中にないと思っています。人命を預かる道路信号よりも目立っているものもあるくらいで、「ここ […]

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